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比較なんかしないで欲しい
「あんた、野々村さんちの勇紀君と一緒に実行委員になったんだって?」
家に帰って顔を合わすなり、母さんが早速僕にそう言ってきた。
母さんにはまだ何も言ってなかったのに。その事をどこからか聞き付けてきたらしい。
どうせ野々村君のお母さんからでも聞いたんだろ。
「あんたに出来んの?足引っ張らないようにね?」
「わかってるよ、言われなくなくたって。」
「あー。なんで野々村さんちの勇紀君はあんなになんでも出来てパーフェクトなのに、あんたときたら…。」
「うるさいな。」
「同じように過ごしてきたのに。同じ保育園で。同じように育ってきたのに。神様はなんて不公平なの?嫌になっちゃう。」
嫌になっちゃうのは僕の方だよ。
「野々村さんちはあんなにカッコいいのに性格も明るいし、活発で運動神経もよくてみんなからも人気者で。
それに比べてあんたときたら。」
「もう、わかった。ほっといてよ。迷惑かけないようにすればいいんでしょ。」
「少しはハヤトもユウキくん見習って、いいところ学びなさいよ。」
「うるさいな。」
野々村君なんかいなければよかったのに。
なんて。本当はそんなこと思ってもいないくせについ、そんな風に呟いてしまう。別にこんな風になったのはあいつのせいじゃない。
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