最強コンビなんかじゃない

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最強コンビなんかじゃない

「おはよ、ハヤト!」  また今日も爽やかに挨拶された。 「あ、あぁ…。おはよ…」 「母ちゃんがよかったねって、ハヤトと一緒に実行委員やれてよかったねって」 「嘘つけ。いいわけないし」 「は?なんで?俺は他のやつとやるくらいならお前がいい。」  これだよ。なんも出来ない俺の隣にいれば、嫌でも目立つもんな。出来るところが際立つってもんだ。 「あー、あれ。そういえばどうなった?」  野々村君が突然僕に聞いてきた。どうせあれって、あれだろ?新しく取り入れた追加の出店のメニュー。手間がかかるのは効率悪いから他のアイディア出せって言われてたやつ。クレープよりも手間とコストのかからないもの…。 「ホットドックとかどうかな。コッペパン用意して、キャベツは刻んでおけばいいし、ホットプレートでフランクフルト焼くだけだし?」 「お!いいね。それ、イタダキ!」  ふん。そのくらい誰だって思い付く。そうやっておだてれば僕が喜ぶとでも思ってんだろ。  早速、先生に相談する。 「ハヤト、お前もついてきて!」  またそうやって僕は連れられていく。そして今日もなんも話さずに終わった。 「いいね。流石!」  先生もすぐに許可してオッケーが出た。 「でしょ?俺たちやっぱ最強コンビだし」  得意気な顔でこっちを見る。そんな顔もキラキラして眩しい。僕は今日も黙って俯く。  ただこうしてついてきただけの僕は別に最強コンビでもなんでもない。
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