第一章、あなたとともに

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第一章、あなたとともに

「怪我をされて倒れているところを見つけまして…それで男衆に頼みましてね、あなたを運んできたのですよ」 「そう…だったんですか」 「何もない辺鄙な村ですけど、怪我が治るまでごゆるりとされましたら」 「それはありがたい」 「こんなところに他所からいらして、湯治ならもっと風光明媚なとこもありましたでしょうに」 「いや、僕は郷土研究といいますか、このあたりの風習などの民俗学を――」 「あらまあ、お若いのに学者さんなの?」 「いえいえ、あの、そんな大層なものではありません」 「でしたら、尚更ゆっくり滞在なさって」 「あ、あのう、ひとつおうかがいしたいことが」 「なんでしょう」 「僕は廃村の近くにあった神社の裏手の崖から落ちたと思うんですが、ここはその廃村から近いんでしょうか?」
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