物語

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時代は昭和初期、ある青年が祖母の生まれ故郷である鬼哭山近くの村を訪れるところから始まる。祖母は生い立ちを語りたがらなかったが、遺品整理で出てきた手記から何かに怯え隠れ潜んでいたかのような不穏な文が散見されたことから、その原因がどうやら出身地にあるとみた孫が、民俗学を専攻していたこともあり、興味を持って訪れるというものだ。 だが、そこは既に廃村となっており、廃墟となった建物などを散策しているときに崖から落ち、青年は美しい女性に助けられる。そこでしばらく逗留するうちに、かつての因習と怨念に囚われていく。 村は古くから山神に支配されており、災いが起これば加護を求めて生贄を捧げてきた。贄の対象は口減らしの女子供であり、棺桶のような木箱に入れられ、神社に奉納される。山神が使役する紙人形が神主をしており、奉納された数日後には頭蓋骨が転がっていて、神社の脇の首塚に納められていた。 ある年、村長が生贄を買って出る。山神を説得してこの因習を断ち切るというのだ。その年の生贄となるはずだった娘は感謝の中にも不審があり、こっそり神社へとついていくのだが、そこでこの因習の真実を知る。 山神と村長の一族は契約をしており、長寿と繁栄をもたらすために村人たちを永年犠牲にしてきたのだ。前年に双子の姉を生贄に取られていた娘は村長に復讐をしようとするが、返り討ちに遭う。しかし、山神は娘の憎悪と怨念の深さに魅了され、村長一族との契約を破棄、悪意に満ちた力を得た娘は、ゆっくり、じっくり、世界への復讐に耽溺していく…… 「ああー、そういえばそうだったね」 ウィキや動画を流し見て、食べ終わった頃にはゲームのあらすじをあらかた思い出していた。言われてみると、ここの山とどことなく符号が合う気もする。 「…あれ?」
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