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ついに卒業式の日。
これが、磯貝さんと会う最後になる。
いつの間にか、俺の友人からの評価は「怖いもの知らず」から「諦めが悪い奴」に代わっていた。
悔いが残らないように、思いの丈をぶつける。それこそ、諦めが悪い俺らしい行動だろう。
これで終わり。あと1回。この1回で、俺の3年間が終わる。
「卒業おめでとう、潮谷くん」
「磯貝さんこそ、卒業おめでとうございます」
祝いの花を胸に付ける磯貝さんは、いつもより一段と美しく見えた。
こんなに素敵な人と過ごせた3年間。
何も思い残すことはない。
「磯貝さん。だいっっっっっ好きです! 俺と! ……付き合ってください!」
深く頭を下げて右手を出す。
どうか、このわがままが叶うなら。
あなたにこの手を取ってほしい。
校舎裏での最後の告白を、あなたに受け取ってほしい。
大好きです。愛しています。
許されるなら、これからもあなたの隣であなたの笑顔を見ていたい。
あなたに隣にいて欲しい。あなたの隣にいたい。
どうか、どうか。
どうか……。
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