あと1回の告白

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「聞くよ。何?」 俺は少し震えながら大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。 磯貝さんに聞こえてしまうんじゃないかと思うほどの音を鳴らして生唾を飲み込む。 拳を握り、口を開く。 「あ、あの……」 出した声は思って以上に震えていた。 「うん」 磯貝さんは甘い微笑みを浮かべながら、話の続きを待ってくれている。 あぁ、そういう優しいところも好きだ。 「あの、好き、な、食べ物って、何ですか?」 「……え?」 そう聞いた俺に、磯貝さんはぱっちりした目をさらに見開いていた。 俺がそんな顔をしても間抜けなだけだろうけれど、磯貝さんがしたらただただ可愛いだけだった。 「好きな食べ物、かぁ。難しいね……」 「あ、その、じゃあ……好きなお弁当のおかず、とかでも……」 「あ、それならねぇ、梅干しが好きだよ。甘めのやつ」 「え、可愛い。……あ、じゃなくて! その、えっと、ありがとうございます!」 「ふふ、どういたしまして?」 深々と頭を下げてお礼を言った俺に、磯貝さんはクスクスと楽しそうな笑いを残してその場を去って行った。
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