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夏休みに入った。しばらくの間彼女と会えない。
そう思っただけで心臓が苦しい。
俺は登校日には欠かさず彼女に「好きです、付き合ってください」と告白し、「ごめんなさい」と言われ続けてきた。
1学期の間で彼女のことを随分とたくさん知った。
入学式の日よりも好きは増した。
今の方がもっともっと磯貝さんを好きな自信がある。誰よりも彼女を好きな自信もある。
でも、彼女はかたくなにYesとは言ってくれない。
それが辛くて、心が折れそうでもあった。
「でも、好きなんだよなぁ……」
冷房の効いた自分の部屋で、ベッドに大の字に寝転んで呟く。
ものに執着しないタイプの俺の無機質な部屋。
彼女の部屋はどんな感じだろう。
可愛らしいぬいぐるみがあったりして。それともモノトーンでクール? 俺みたいに物が少ないとか。それともコスメがいっぱい並んでたり。服をたくさんもっている磯貝さんもいいな。
あ、意外とオタクの部屋というか、推しのグッズがいっぱいあったりして。
どんな部屋でもいい。どんな磯貝さんでもいい。それでも嫌いにならない自信がある。
「しんど……」
好きすぎて辛い。
好きすぎて苦しい。
好きすぎてしんどい。
夏休みで磯貝さんと会えない期間がもどかしくて、ダメ元でも連絡先を訊いてみればよかったなんて思ってしまう。
早く夏休みなんて終わってしまえ。
早く2学期になれ。
「早く、会いたい」
早く磯貝さんに会いたい。
「ごめんなさい」でもなんでもいいから、彼女の声が聴きたい。
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