キメラ

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 あきらかに、ゲームの景品らしからぬ、奇妙なぬいぐるみたちがケースに入っていた。  乱雑(らんざつ)()い目のせいか、体のパーツが()ぎはぎされているようなアンバランスさと、毛羽立(けばた)った粗雑(そざつ)な布地。  指紋(しもん)で汚れたケースの内側中で、死体のように転がされているその光景は、子供から見ても、ゲームの(てい)()していないように見えた。  大人だったら、そんな景品に見向きもしないし、金を払ってまで手に入れようと思わない。  だが、幼い俺には浅はかな打算(ださん)が働いたのだ。  このまま手ぶらで帰るよりも、ぬいぐるみをお土産にして帰ったら、もしかしたら母の怒りはおさまるかもしれない。弟もぬいぐるみを気に入ってくれて、機関銃のような夜泣きも止まるかもしれない。  俺も母も、今夜はぐっすり眠ることが出来るかもしれない。 ――そんな、子供だましな都合の良い妄想(ゆめ)を見てしまった。  
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