古いアルバムの中に

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古いアルバムの中に

確か持って来る荷物に入れたはずなんだけどな~、何処に入れたっけ… 冴香ちゃんと寝泊りしている十二畳はある和室は、現在床が見えなくなっている …まぁ、あたしが散らかしたんだけど あたしがカフェ美宙の居候兼ウェイトレスになる時に、大阪で一人暮らししていたマンションは引き払って来たので、大切なものは全て持って来ているはずなんだけど 断捨離?何それ?食べれるの?…してない… 実家を引き継いでくれた、因みに親はどちらも健在だ、姉家族があたしの荷物も半分くらいを引き取ってくれたので… お陰で自由気ままに音楽活動に勤しんでいる 時折やって来る容赦ない〆切と戦いつつ… 「秋ちゃんご飯出来まし…って、どうしたんです、この部屋の惨状は?まさか泥棒?」 襖を開けて同室の冴香ちゃんが部屋を見て目を白黒させている 「…それ、ちゃんと片付けられるんですか…?」 白黒させていた円らな瞳をジト目に変えて、冴香ちゃんが棒読みになる…まずいな… あ、当たり前じゃない!し、秋ちゃんの荷物整理能力は冴香ちゃんも知ってるでしょ! 「じゃあ私が、先にお風呂いただいている間にお布団敷けるようにしてくれてるんですね?」 冴香ちゃんの目が細く鋭いモノになる 口調は棒読みのままだ …すみません、無理です…冴香ちゃんに手伝っていただかないと座る場所も取れません… 自慢するワケでもないけど…あたしは片付けと名の付くものは皆目苦手で、仕事部屋に借りている部屋も大変な状態だ 「お風呂の順番をハルちゃんとシイちゃんと優花ちゃんと美優ちゃんに譲って、夕飯の後で一緒に片付けしましょうか…」 う…耳が痛い アラフィフになったばかりの冴香ちゃんが一際大きなため息を付きつつ、提案してくれる 「…片付け終わらなかったら、私今日は描さんの部屋にお邪魔しますので、そのおつもりで…」 ずるい!それは反則だ!職権乱用だ! …いや待てよ?ネコにここを片付けさせてあたしと冴香ちゃんがあいつの部屋に泊まるのもありか? ところで今日の晩ごはん何? 「はあ…描さん特製肉じゃがと茄子とピーマンの揚げ浸しです…早くしないとハルちゃん達に食べ尽くされちゃいますよ?」 あぁん、それダメーー! あたしの大好物な組み合わせじゃん! あいつに何度習っても同じ味が出せない、調味料の分量とか具材の量も同じなのに、ある意味で奇跡の料理だ でね、冴香ちゃん?あたし出られなくなっちゃってるんだけど、どうしよ… 部屋の一番奥で荷物漁りに夢中になっていたので…
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