あと一回

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 自然と頭の中にLast Waltzが流れ出す。 (このワルツが永遠に続けばいいのに……)  自然と歌詞に想いを重ねてしまう。 「あのさ……」 「ラストワルツまで待っているから」 「え?」  右手が上げられ、自然とスピンをする。でも、今までと違う。スピンが止まると手を引かれ、先輩と向き合った。 先輩の真剣な眼差しに、心臓がドキドキとうるさく音をたてる。 「理子ちゃんのラストワルツまで待っているから、引退後、俺のパートナーになってほしい」 「えっ!?」  突然のことに言葉が見つからない。  (嬉しい。──嬉しいけど……)  誠君の力強い声が頭の中に甦り、私の気持ちをグラグラと揺らしていく。一年後、この気持ちはどうなっているのだろう? 「ダメかな?」 「いえ……そんなことないです……でも……」 「でも?」 「あと一回……一年後にあと一回、ワルツに誘ってください」  一年後、先輩の手を迷いなくとれるかどうかわからない。  私たちの本当のラストワルツは、今始まったばかりだから。  
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