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大学毎に卒部生がワルツを披露した後は、フロアが開放される。憧れの先輩にワルツを申し込んで踊る時間だ。
「理子はどの先輩を狙ってるの?」
いつの間にか隣に立っていた同期の美保が声をかけてきた。その言葉に、無意識に岩崎先輩を探してしまう。
(──もう踊っちゃったから、岩崎先輩にはワルツを申し込めない)
「…………私は、壁の花にでもなろうかぁ」
「えぇ!! 勿体ないよ!!」
私の返事に美保が大きな声をあげる。
「山根先輩は?」
「山根先輩も競争率高いじゃない。今回、サンバで優勝したし」
「だからこそ踊るんでしょ! ほらっ! 行くよ!!」
そう言うと、美保は私の手を掴み、山根先輩のほうへと歩き出した。
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