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先程まで皆が競い合っていたダンスフロアの照明が落とされ、テノールボイスの歌声が響く。曲名はLast Waltz。
(あぁ、始まった。)
私はまるで夢をみているような気持ちでダンスフロアを眺めた。
今日は、大学社交ダンス部の今年度最後の競技会の日。そして4回生のラストワルツの日。
大学の社交ダンス部には四年間しか所属できず、四年目が終わったら引退しなければいけない。だから、年度の最後の競技会の後、ダンスフロアを開放して引退記念のラストワルツが行われる。
ラストワルツは引退する四回生に後輩やOB・OGがダンスを申し込み、ワルツを踊る。ただそれだけなのだが、後輩としては普段は踊れない他大学を含めた憧れの先輩と、会話を交わしながら踊るワルツ。ただでさえ特別な時間なのだが、競技会の後で皆ドレスやタキシード姿ということも、夢のような時間を演出してくれる。
そして流される曲は、この時にだけにしか使われない特別な曲、Last Waltz。この一曲だけが何度も繰り返し流される。
『この曲を聞くと、涙が出そうになっちゃう』と言っていた、とある女の先輩の気持ちが、今なら痛いほどわかる。
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