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ゴットフリート達の伯父コーブルク公爵アルベルトだったら、学費ぐらいは払ってくれたかもしれないが、彼は2人が退学するまで滞納の事実を知らなかった。ゴットフリート達の父は学費のために仲の悪い義兄のコーブルク公爵に頭を下げるつもりはさらさらなかった。その上、公爵の妹で彼らの母カタリナが公爵にしょっちゅうたかろうとしていたので、ゴットフリート達は伯父に相談しづらかったようだし、公爵も妹一家を避けていた。
ゴットフリートの家がこんなことになり、アントニアの両親は婚約のメリットがないと言って婚約破棄させた。アントニアは泣いて婚約破棄は嫌だと両親に頼んだが、聞き入れてもらえなかった。レアも同じような経緯でラルフとの婚約を破棄した。
ゴットフリートも本心では嫌だったが、今の経済状況では婚約破棄をされても仕方がないし、止める手段もなかった。ラルフも多分嫌だったろうが、彼は兄には何も愚痴を言わなかった。それどころか、すぐに気持ちを切り替えて王宮の下級官吏の試験を受けて合格し、勤め始めた。
ゴットフリートは、おとなしい性格なのに意外にも騎士になりたくて寄宿学校の最初の3年の基礎課程を修了した後、騎士課程に進んだ。それなのに卒業を目前にして退学しなくてはならなくなった。騎士課程の卒業資格なしに騎士になりたければ、従騎士から始めなければならないが、侯爵子息だったゴットフリートに従騎士の訓練環境は厳しい上に、年齢的にも従騎士から始めるのは遅かった。
ゴットフリートが絶望して閉じこもる中、頼りにならない名ばかり当主の兄と放蕩者の両親に代わってラルフが家の一切を切り盛りするようになり、ゴットフリートはますます卑屈になって殻に閉じこもっていった。
婚約破棄後、4人が会うことはなく、このまま何事もなければ2度と会うことはないと思われた。風の便りでラルフが王宮の下級官吏試験に合格して働きだしたとアントニアは耳にしたが、ゴットフリートが子爵になった後、具体的に何をしているのか聞こえてこなかった。
レアは婚約破棄の後すぐに別の伯爵令息と婚約し、彼女が18歳になった年に結婚してすぐに子供にも恵まれた。そのことを人伝えでアントニアは聞き、心の中でかつて義妹になるはずだったレアの幸せを願った。
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