4人が本棚に入れています
本棚に追加
顔いっぱいの嬉しそうな笑みでわたくしの瞳を覗き込む、黒い目をキラキラと輝かせた小さな小さな女の子。
「うわぁぁぁ……きれいなお顔!」
そうでしょうとも。
わたくしは綺麗と言われ続けてますの。美しいのは当たり前ですわ。
「ねぇ! なんておなまえ?」
まぁ! わたくしに話しかけてくださるの?
わたくしとお話するのは、華絵さんだけだと思ってましたけど……わたくし、フランソワーズと申しますの。
素敵な名前でしょう?
「フラ……フラ……フランソ……? フラン……んー、もうフラちゃんね!」
…………フラちゃん!?
初めて呼ばれましたけど……フラちゃん!
「フラちゃん!」
フラちゃんに決定……ですか……
「おうた、じょうずね」
本当は歌ではないですけれど、あなたが歌というのなら歌という事にしておきましょうか。
仕方ないですわ。こんなに小さい子供なんですもの。
「フラちゃん、おばあちゃんのところにいたの?」
おばあちゃん? 華絵さんの事かしら?
わたくし、華絵さんにそれはもう可愛がっていただきましたの。
「おばあちゃん、天国にいっちゃったね……」
そうですか…………やっぱり。
こちらに連れてこられた時から、なんとなくそんな気はしていましたわ。
…………華絵さんは……もう、いないのですね。
「これからは、みきちゃんといっしょにいようね!」
あなた、みきちゃんっておしゃるの?
『大切な孫娘がいてね、美樹って名前なのよ。今度フランソワーズにも会わせてあげようね』
ああ、あなたが華絵さんが言っていた美樹ちゃんね。
「このおうた、すきーー」
嬉しいわ。
あなたの為に、これからはたくさん歌うわね。
ねぇ、華絵さん。
この娘の為に歌ってもいいでしょう?
きっと、あなたは喜んでくれるでしょう?
最初のコメントを投稿しよう!