フランソワーズ

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 顔いっぱいの嬉しそうな笑みでわたくしの瞳を覗き込む、黒い目をキラキラと輝かせた小さな小さな女の子。 「うわぁぁぁ……きれいなお顔!」  そうでしょうとも。  わたくしは綺麗と言われ続けてますの。美しいのは当たり前ですわ。 「ねぇ! なんておなまえ?」  まぁ! わたくしに話しかけてくださるの?  わたくしとお話するのは、華絵(はなえ)さんだけだと思ってましたけど……わたくし、フランソワーズと申しますの。  素敵な名前でしょう? 「フラ……フラ……フランソ……? フラン……んー、もうフラちゃんね!」  …………フラちゃん!?  初めて呼ばれましたけど……フラちゃん! 「フラちゃん!」  フラちゃんに決定……ですか…… 「おうた、じょうずね」  本当は歌ではないですけれど、あなたが歌というのなら歌という事にしておきましょうか。  仕方ないですわ。こんなに小さい子供なんですもの。 「フラちゃん、おばあちゃんのところにいたの?」  おばあちゃん? 華絵さんの事かしら?  わたくし、華絵さんにそれはもう可愛がっていただきましたの。 「おばあちゃん、天国にいっちゃったね……」  そうですか…………やっぱり。  こちらに連れてこられた時から、なんとなくそんな気はしていましたわ。  …………華絵さんは……もう、いないのですね。 「これからは、みきちゃんといっしょにいようね!」  あなた、みきちゃんっておしゃるの?  『大切な孫娘がいてね、美樹って名前なのよ。今度フランソワーズにも会わせてあげようね』  ああ、あなたが華絵さんが言っていた美樹ちゃんね。 「このおうた、すきーー」  嬉しいわ。  あなたの為に、これからはたくさん歌うわね。  ねぇ、華絵さん。  この()の為に歌ってもいいでしょう?   きっと、あなたは喜んでくれるでしょう?
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