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4 肉じゃが、だし巻き卵と山盛りご飯
「どう?」
もぐもぐ食べているたまちゃんと歩夢の二人を心配そうに覗き込むみのり。
いつもどおり、一口が大きい二人。
口にした瞬間から笑みが零れる。
肉じゃがの後すぐの白米。
「あぁ、うまーぃ!」
たまちゃんはだし巻き卵を一切れ。
まだ湯気のたつ熱々のだし巻き卵をふぅふうしながら口に運ぶ。
「むふ、ほっ、ぉぅっ、おいひーーぃ! 出汁がジュワっと。これ、甘くないからご飯に合いますね」
たまちゃんも出汁巻き卵の後にすぐ、ご飯を口に運ぶ。
そこで目を見開いた。
「ご飯がっ! ご飯がっ! いつもより甘く感じます」
あっという間におかわりもして、食べ終わる二人。そして感想を述べた。
「みのりさんのご飯は美味しいです。肉じゃがも、出汁巻き卵も。でも……」
たまちゃんは、そこで言い淀む。
歩夢が言葉を引き取った。
「たまちゃんの言いたいこと、俺、分かる気がします。大食いって時間制限があるから、かき込むことになると思う。普通のおかず、汁物、ご飯と言う、この定食スタイルは大食いには向かないと思うんです」
ふむむむぅ、とみのりが息を漏らして項垂れた。
「だって、うち、定食屋なのよ〜」
そのみのりの肩に両手を添えてたまちゃんが謝る。
「生意気でごめんなさい、みのりさん」
みのりは慌てて首を振った。
「いやいや、ごめんね、私こそ。お二人を巻き込んじゃって」
「みのりさん、あまり寝てないんじゃないですか? 目の下にクマができてる……」
「そうなんだよねぇ。美味しく食べて貰うにはどうしたらいいかな、と思ってメニュー考えてたんだけどね」
そこで、ふぅと息をつく。
「大食い企画の運営サイト見てたらね、うちの定食じゃ地味飯だとかで、参加者が全然集まらないらしいの。やっぱ、ほかの人気店に譲った方が良いのかなぁ」
寂しそうに笑うみのりに、たまちゃんと歩夢が力強く言う。
「そんなことありませんっ!」
「そうですよっ、そんな風に言うのはここに来ている客の舌を馬鹿にしていることになりますよ。そもそも俺とたまちゃんなんて毎日来ているし、そう言われると、俺たちまで悲しくなりますっ」
二人に言われて、みのりは涙ぐんだ。
全くその通りだった。
大人なのに、学生、しかもお客様に励まされるなんてね。
みのりは二人に素直に頭を下げた。
「ごめんなさい。その通りよね。美味しくたくさん食べて貰えるお料理、考えてみるわ」
たまちゃんと歩夢は心配そうに、頷いた。
「参加者のことは、こっちでなんとかできると思いますよ。だから、みのりさんはそれは気にせずに料理だけ、考えてください」
力強く言う歩夢に押され、「う、うん」と頷くみのりだった。
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