第二部 七空村

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秋になり、舞う枯れ葉に埋もれながら七紅が寝ている。 「あのまま焚火にして燃やすことはできないかな」 なごやかな夕暮れ時、縁側に藤生と並んで座って。 俺は物騒なことを口にした。 「無理だよ。7匹が合体したから命も7つぶん強いんだ。 普通に何をしても通用しないよ」 アオメを撫でながら藤生が冷静に言ってきた。 俺たちは元から太らない体質だったけど、さすがに入退院を繰り返す 藤生は、細くなりすぎていて、生活にも少し支障が出始めていた。 精神科ですべて世話をしてもらえる母とは別に、父の入院には それなりの雑用も必要で、中谷さん以外の家政婦さんを探して 数人を交代制で雇って、父の入院先にも出向いてもらっている。 両親が2人とも入院していても、弟までが命に係わる病魔に 襲われても、猫を飼いながら自宅で生活できるのは、結局は 家の財力だった。 父にはやはり感謝すべき点は多かったのだ。 もちろん俺が不登校なので、福祉課の人も中学校の担任も 訪問してきた。   「弟と一緒にいられる時間は、もうかぎられてます。 勉強はこれからでもやり直せるけど、 藤生と遊べるのはいまだけなんです。おねがいします。 いまだけは、好きにさせてください」 そのままの事実と本心を告げたら。 涙ながらに不登校を黙認してくれることになった。
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