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「おい眞麗、おまえの言葉だけは取り消せ。
呪いじゃない、親父さんは勝手にヤケになっただけだ。
あーあ、その刀のせいでオイラが屋敷に入れないほどの
効力だったのになあ......。
汚れた心で持ち出したせいで錆びてきたぞ、馬鹿な奴だ」
おもわず振り返ると、父の手にしていた刀の銀色の光が薄らいで
変色し始めていた。
「父さんをここまで追い詰めたのはおまえじゃないか!
すべておまえのせいだ!」
これまでの怒りをこめて俺は怒鳴った。
「眞麗、おまえ生意気になってきたな。
うん、どっちか迷ってたけどな、藤生がいいよ。
昔の成人の年齢でな、15歳で取り込むつもりだったが
こりゃあ、確かに死にかけだ。
もう、もたないな、わかった。いまにしよう」
七紅が大きな手の平で藤生の頭を掴んで持ち上げた。
七紅の身体が輝き、血のような色の光に包まれたその刹那......。
藤生が振り返り、微笑んだ。
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