そして落合は暇になった

第一部 闇から雨のち晴れ

なるほど、癪に障ることを言われ、言い返したら負けということか。
これは間違いなく怪異だ、ルールを破れば殺される......かもしれない。

「ほら、このあいだのあの失敗、あれもみっともなかったよね」

これは、いつまで続くんだ？

足早に歩いてもトンネルの出口に着かないし、耳を両手でふさいでも
女の声は聞こえてくる。
ついには走ってみたが、やはり出口に着けない、いや、息を切らして
声が出るのも危険だと気づいて、走るのはやめた。

あの男、トンネルから出る方法も教えとけよ、まったく。

なんだこれは、ののしることが無くなるまでなのか？
だとしたら長いぞ、なにしろ俺は廃人になっていた時期さえあるんだ。