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あやふやな日々のなか、自殺には様々な知識が必要だった。
たとえば線路に飛び込む、歩道橋から飛び降りる。
これらは他者に迷惑をかけ過ぎるので、やらない。
それから、自殺としてかなり苦しむ方法。
これも避けたい。
失敗率が高い方法も後遺症で倍に苦しむ。
俺とクリタは、それらについても話し合った。
やはり自殺の名所に向かうべきか?
そういう意味では「王生菜由子」のブログは為になった。
しかし、あるときに王生のブログが軽く炎上した。
『心霊スポットで本当の霊体験をした』という書き込みで。
『○○町の、いまは使用されてないトンネル!
あそこで××くんと名前を呼ぶと、命が欲しくて
少年が笑いながら追いかけてくる......。
これデマじゃなかった!追い駆けられた!都市伝説じゃない!
ネットにあった対処法の、身に付けてるモノを投げる。
それを思い出して、かぶってた帽子を投げた。
そしたら、その子が帽子を拾って、かぶって、足を止めた。
そして......ひきつった顔で、ずっと笑ってた。
いま、書き込んでても、何度も指が震える......。
怖かった、怖かった、怖かった、もう心霊スポットは行かない!!』
ガチで怖いとクリタと会話したが、人によって意見は違った。
『盛大なネタ作り、お疲れサマー』
『ブログのランキングをそんなに守りたい?必死でドン引き』
『え?ガチで怖がってる私は騙されてるの?』
『いやいや、いままでどこに行っても普通だったじゃんか』
『突然過ぎて信憑性に欠ける』
『いくるみちゃーん、恐いなら抱きしめてあげるーっ』
休日になると、不気味な場所へと小旅行みたいに出かけて行く。
しかし彼女の文面は明るくて、ほのぼのしていた。
それが急に心霊体験になった。
周囲はそれを叩き始めて、そのブログだけは本人が削除した。
クリタは『ネットのほうが、匿名の書き込みのほうが怖いね』
と、学ぶことができていた。
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