第二部 七空村

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神は人の存在に生死に、関与してはならない。 藤生......おまえはあのとき、わかっていたんだな。 結婚相手の彼女が、俺を殺そうとしていたことを。 だけど、それを言うわけには、いかなかったんだよな。   藤生、ごめんな。 俺は、消えゆくおまえにロクにさよならも言えなかった。 そして大切な忠告を聞こうともしなかった。 そんな、馬鹿な男になっていたんだ。 ただ社会に流されながら吞み込まれるだけの人間に。 いや、そんな風に波から波へと逃げ続けていたんだよ。 それでもいいような気がしていたから。   老うことのない両親、死なずに済んだ弟、永遠の猫。 人の世で叶わぬことがすべて叶っていたんだ。 それはそれで嬉しかったんだ。 あとは俺が普通に生きればいいだけだ。 安定した職に就いて、金を自力で稼いで、そして結婚して。 そして......子をつくらず、七空の血を俺で終わらせる。 それですべてが解決するのだと......。 藤生、父さん、母さん、アオメ。 俺は決めたよ。 俺ひとりだけが、ただ、人として生きていくなんて間違ってる。 みんなが永遠であることもまた、間違ってるんだ。 だから、すべてにケリをつける。 長男として、生き残った最後のひとりとして。 そして、その前にやるべきことがあった。
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