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仲良し家族というか、恐いほど仲良し過ぎる家族が去って。
俺は広いバスルームで湯舟に浸かっている。
古い家で追い炊き窯かと思ったら、ちゃんと近代的だった。
それでいてアンティークで洒落れてるから、更に心地好い。
「やっぱバスルームは広いほうがいいよなあ、なあ?」
ペンダントの石からウリ坊に戻った超亡霊が、湯舟で泳ぎながら
『キキッ!』と、嬉しそうに鳴いた。
「おまえさあ、風呂のときだけ元に戻るのなに?
もしかして俺んとこきたのは風呂目的?」
ウリ坊が目を見開いたあと宙に浮いて、おもっきし身体を震わせて
しぶきを飛ばしてきた。
どうやら『違う』という意思表示らしい。
「やーめーめーろー!痛い痛い、湯が目に入る!
わかった、わかったから!」
と、ひとしきり騒いでから風呂から出ると。
いつものボクサーパンツの上に、パジャマが置かれていた。
新品の白いシルクの上下で、俺が持っているものじゃない。
こういう色を選ぶとしたら......クリタだな?
「いつまで遊んでおるのだ?早くそれを着てこちらに来い」
と、そこへ恵氏、いや、晴神の声が遠くから聞こえた。
「いや、おまえなんで舞い戻ってきてんの?めんどくせえな」
いるならパンツ1枚というわけにはいかず、仕方なく俺は
パジャマを着始めた。
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