第三部 最終決戦

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「おや、似合っているではないか。サイズもピッタリだ」 キツネ顔に戻している恵氏、晴神が、家の縁側であぐらをかいていた。 それでいて高貴な衣装なので風格があり、閉めているガラス窓には 降り始めた雪が見える。 なんというか、なかなかに風流で絵になる姿だ。 「サイズがピッタリとか神様が言うな。 これ買ってきたのは、クリタだろ」 「ハズレだ。儂のほうの嫁の恵麻だ」 「なんだよもう、今日は負けてばかりだな」 「勝ち負けの問題ではない。それより初雪だ。 一緒に眺めよう、温かい茶もあるぞ」 「酒じゃねえのかよ」 「シラフで語り合いたいのだ。とにかく座れ」 わざわざ用意された高級品っぽい茶と、家から持ってきたのか 高級な座布団まで用意されていて、俺は隣に座った。 「それにしても......。 章真さんは、長いあいだ育てられた身だからともかく。 クリタは一般人なのに、よく受け入れたもんだな、 義父母が人間じゃないって」 「儂がこの顔に戻したら、もう信じるしかないだろう。 かわいいとか言ってくれたぞ」 「かわいいか......?クリタは大物だなあ。 恵麻さんが神に仕えるって証拠は?どうやった?」 「人の内面を読み取る能力を出したら、信じてくれたのだよ」 「なにやったんだよ」 「おまえがパンツだけで寝ることだ。 茜さんにしか話しておらぬだろ?」 「そこかよ!そこじゃなくてもいいだろうがよ!セクハラ夫婦め!」  キツネ顔が目を三日月のようにして笑った。
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