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俺は、握っていた湯呑みに力がこもりすぎて......。
手を震わせながら床に置いた。
「すげえよ、あんたは力だけじゃない。心まで強い、恵麻さんも。
しかも、すべてから逃げなかった。
俺はダメだ、アオメに、藤生に、あんたに、そしてクリタに......。
助けられてきただけだ!」
「比べることではない。そして、おまえは立派だ」
「立派じゃねえよ、慰めんじゃねえよ」
「拗ねた子供のようになるな」
「じっさい、ガキみたいなもんだろ!あんたからしてみりゃ!」
「わめくな、本気で立ち向かうと誓ったのだろう?」
「俺に、できるかな。あんたほどのことを」
おもわず床に倒れ込んだ。
少し身体を動かした晴神が衣を揺るがせ、俺の背中に触れてきた。
「できるかではない、やるのだ」
その言葉に、身体が、心が、反応した。
俺はゆっくりと起き上がった。
「やろう、やらなければならない」
降る雪のように強い思いと弱い思いが消えゆく。
それでも俺は、強い決意を掴み取り、我が身に積もらせようと決めた。
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