第三部 最終決戦

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そして翌日。 「章真さん、スーツ系の喪服もってます? 恵......晴神は和装しか無さそうな感じだし。 ちょっと貸してもらうことはできませんか? もちろんクリーニングして返します」 陽輝村に住んで1週間ほど経ったあるとき、俺は陽輝家を訪ねて 玄関先で聞いてみた。 「喪服ですか?あるにはありますが、着るような不幸が?」 「いや、単なる戦闘服。あ、ダメだ! 章真さんだとサイズが俺には合わない。 すみません、考えが甘かった。 買いに行くには車が必要だろうし、通販しますわ」 「戦闘服?な、なんですか?」 「大丈夫ですよ。服がボロボロになって流血だらけとかの 闘いじゃないですから。 そんなんだったら、人に借りようなんて思いませんよ」 自己解決している俺へと戸惑う、章真さんの後ろから 恵麻さんが廊下を走ってきた。 「落合様、これをどうぞ」 恵麻さんが持ってきたのは......新品の喪服だった。 「サイズもピッタリですよ」 恵麻さんが自信満々の表情をみせた。 「内面を見る能力、便利すぎ。ありがとうございます!」 俺は頭を深く下げ、両手で受け取った。 晴神と語らったあと、俺なりに考えた。 そしてそれを実行するためには、気合いを入れるためには、 喪服が最適な気がしたのだ。 忌まわしいものを葬る為に。 魂を見送る為に。 愛する我が家に別れを告げる為に......。 俺は、七空家、七空村へと帰らなければならない。
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