第一部 闇から雨のち晴れ

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「人の役に立ちたい?それってね、結局は自分の存在理由のためだよ。 綺麗ごとだよ。くだらないよ。 あんたはね、良い行いをすることで自分の価値を守りたいだけなんだよ」 おまえになにがわかるんだよ! どこまでも、どこまでも、女は俺を否定して罵倒してきた。 あー、はいはい、そうですよ、俺は、おっしゃる通りの人間ですよ。 卑屈なわけではなく、それは事実だ。 あぁ、そうだよ、だからどうした? どうでもいいから、とにかくここから出してくれ。 と、言いたいが......言うことができない。 「そんなんだから、死ぬまで追い詰められたんだよ」 俺はゆっくりと後ろを振り返った。
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