第一部 闇から雨のち晴れ

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じっとりとした淀みのある空気に覆われている。 「クリタ......俺は、まだまだクリタと、話したい」 ぼんやりと目を開けた。 俺はトンネルの中で倒れていた。 生きて、いる......? ゆっくりと上半身を起こし、立ち上がる。 「はー、はー、はー、はー、はぁっ......はあぁっ......。 げぇっ、うえぇっ......!」 吐きはしなかったが、みっともなく咳き込み、ようやく息が整ったとき。 「おまえ、なかなかに心が強いな」 と、聞こえてきて、俺は全身を土で汚したまま、顔を上げた。 いつの間にか、先ほどの男が立っていて、女の姿は消えていた。 そして女が立っていたあたりの側面には、光るモノが突き刺さっていた。 それは研ぎ澄まされた鎌だった。 鎌を投げつけたということか?
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