第一部 闇から雨のち晴れ

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「いやはや、友人の恋人の義理の父親が神様とか。ややこしいなあ。 こっちが驚きまくったわ。 わかったときに、章真さんの前で平静を装うのに苦労したんだぜ?」 「なぜだ、なぜわかった? 声も姿も完璧に変えておったのに!」 「まあ、そうだな、そこはお見事だったよ。 神様のときと違って口調も普通だったし。でもな、気づいたのは......。 あんたが俺に、トンネルに入る前に言った言葉だよ」 「なんだ?儂が何を言うたと?」 「章真さんのこと、よく知ってたじゃん。そんで、こう言ったよな。 『彼は立派に成長してくれた、自慢できるような良い子に育った』と。 成人した男性を『気立ての良い青年』とか『立派な若者』とか言うなら まだしも「良い子」は、ちょっとだけ違和感あったんだよ。 そしたら陽輝恵が同じことを言った「良い子に育った」と......。 そもそも自慢できる立場は、育ててきた親にしか言えないよな。 それからな、晴神様も陽輝恵氏も、どこかしら常識が抜け落ちてて そこも共通した。 神様は悪口に対して甘さがあった。 恵さんは大学を中退させてまで結婚しろなんて無茶を言ってきた。 なーんか、似てる感覚がしたんだよ。マジで当たってたか」 「おまえ......凄いのだな!」 「いや、あんたのほうがすげえだろ!」
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