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「落合さんが終バスを逃してしまったよ。
もちろん町まで送れるけれどね、落合さんがね、
せっかくだから茜さんのことも含めて談話したいと言ってきてね
それからね、例の件について探偵として力を借してくれるそうだ」
などと、晴神が章真さんに言い訳している。
ニコニコとさわやかで、人間を偽っているというより二重人格だな。
「それは歓迎しますよ!丁度良かった、今夜の夕飯は僕の手製の
カレーなんです。人数が増えてもオッケーです!」
章真さんは裏表が無いという感じだ。
栗田茜は良い人と巡り合えてラッキーだったと思えた。
そうして三人で夕飯のカレーを食べた。
自炊は親子で得意なのだそうだ。
食後にコーヒーを淹れてもらって、リビングで章真さんとクリタとの
馴れ初め話しを聞いた。
「それで、例の件って、なんですか?」
なんか変なことに引き込まれた感が強い。
「実はですね、神社への供え物が無くなっているですよ」
「は?」
晴神の言葉に目が点になりかけた。
「陽輝村の発展を祈る神社には、境内に供え物が置いてあります。
私の家で手作りの大福を一つ供えているのです。
これは村の長としての役割のひとつです。その大福は朝方に作って、
タッパーに入れて、境内に供えます」
「毎日ですか?」
「そうです」
「お義父さん、落合さんになら話してもいいんじゃないですか?」
「そうだね、話そうか。大福はね、毎日、消えるのですよ」
「は?」
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