第一部 闇から雨のち晴れ

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「供え物を食べている人物がいます。これから会いにいきますか?」 「落合さん、誰かわかったんですか!」 「はい、昼間に村を歩いていたときに、食べ物の話しになりしたよね。 そのとき、ある男性に言われました 『神社の供え物は抜群に上手いぞ、手作り大福にしようや』と。 この家で作って神様が食べるのだから、村人は味を知らない筈です。 しかし、あの人は言いました。おいしいと」 「村川さんです。お義父さん、行ってみましょう!」 そうして三人で村川という男の家に行った。 彼は家族に知られたくないからと、外で話すことになった。 「すみせん!食べていました、でも俺じゃないです。 母に、病気の母にあげていたんです。 神の食べるものなら難病にも効くんじゃないかと...... 特別に分けてもらったと言ったら、他はあまり食べないのに、 おいしい、おいしいって、食べてくれて、嬉しくて。」 土下座する村川さんの背中を晴神が撫でた。 そこへ俺は言った。 「残念ながら効力は無いのですよ。ただ、あなたのお母さんを、 それより、町よりもずっと大きい病院で診てもらうべきです。 神頼みではなく、医療を信じましょうよ」 村川さんのすすり泣く声の中、音もなく雪が降り始めた。
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