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風呂上り、身長167センチの俺には、182センチの章真さんのパジャマが
ブカブカで、なんか悔しかった。
「は?なにしてんの?」
晴神が縁側の廊下に立ち尽くしていた。
顔は人間だが和装を身にまとっている。
「雪のひとつひとつが鏡のように、悲しみを映している」
言われてガラス窓の向こうを見た。
「大福を取り戻せて良いこともあったじゃないか。
神様なのに、どうして犯人がわからなかったんだ?」
「わかってはいたが、することで心がなごむなら良いと思った。
それに茜さんにも早く嫁いできて欲しかった」
「それ間違ってただろ、そういうところが常識が外れてるんだよ」
「そうだな。これからは気をつけよう」
「まあ、良かったよ。まず母親の治療が必要だったわけだし。
強引に泊まらせて、人助けさせられるとはなあ」
「たとえ神が偶然を作り上げることはできても、
誠の偶然には適わぬものだ。
おまえが妻に殺されずに済んだのも、茜さんと出会えたのも、
すべては偶然だ。」
「だけどクリタだけなんだ、社会のなかで完全な偶然として出会って
そして俺を救ってくれたのは......。
しかも、強力な神を親に持つ章真さんが恋人であったことも、
俺には機運となった。クリタは俺にとっての奇跡そのものだ。
だから、思い入れが特別なんだよ」
「それが.....おまえの茜さんへの、想いの強さなのだな」
「そういうことだ。恋愛意識じゃないから安心しろ、お義父さん」
「僅かばかり心配しておったのでな、安心したよ」
「マジかよ、親バカもいいとこだなあ」
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