第一部 闇から雨のち晴れ

31/40
前へ
/199ページ
次へ
「俺に、これから何ができるだろう?」 降る雪よりも多い可能性というものがある。 そのうちのどれを掴めるだろう。 どれが溶けて消えてなくなるだろう。 「探偵をやりなさい、おまえは観察眼が優れている。 きっと人の役に立つだろう。 そして自身の家と、ゆっくりと向き合いなさい。 必ず道は開けてくる」 俺は思わずあしを揃え直して座り、頭をさげた。 「日々、精進してまいります」 降る雪のように、溶けては消える希望を。 掴み取ろうと俺は心に決めた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加