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「あああああああああ!!なんか音がした!!」
あたしが叫ぶと同時に、大家さんは急な階段をものすごい勢いで
器用に駆け降りていった。
「いやあああ、もうなんかいやああっ!
なんかあったら見たくないいいっ!
あ、鍵、鍵......どうしよう、どうしましょう!」
大家というのは、事故物件になってしまうような物騒な出来事は
体験してしまうもので。
ただ、それとは別に彼女はかなりの怖がりらしい。
「俺にも聞こえたなあ......音が」
「え、そうですか?あ、鍵......開いてる」
あたしは思わず部屋のドアを動かした。
「山寺さーん、鍵、空いてました」
落合さんが山寺さんへと声をかけてあげた。
「えええ、開いてるの? それはそれで怖いわよ、
ごごごごっ強盗に襲われたとか......!じじじっ自殺とかっ!」
落合さんが躊躇なくドアを開けきり、ワンルームの部屋全体を見た。
「山寺さん、荒らされたような形跡はありません。
遺体もなさそうです。ただ、何がどうなっているのか、
とりあえず俺たちで調べますから、
あなたは自宅で休んでてください。たぶん時間がかかりますから。
そうですねぇ、1時間後くらいに、また来てください」
「え?俺たち?1時間?あたしもですか?」
「そう、わりと厄介な感じですからね。それくらいはかかるでしょ」
「はあ......?」
なんだ?この人は、何に気づいたというんだろう。
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