第二部 猫と探偵と高円寺

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「あの、落合さん、いろいろとすごすぎて.......。 なんかもう降参ですけど。なんでそんなにわかったんですか?」 「んー、まず、最初の言葉ですね」 「最初?」 「ポンさん言ったでしょ? 『これはまた、ずいぶんと大勢でいらしたんですね』と。 俺と大家さんの2人に対して、少しだけ大げさですよね。 それって要するに......もうひとり、見えてたんじゃないですか? 俺のほうに付いている少年......。 銀の髪に白い和服で、青と緑のオッドアイの少年が」 「み、見えました!風貌もそのままです!」 「やっぱりね。 一般人で霊感があるとしても、アレは見れませんよ。 あの子が見えるのは、妖怪や神様に近い類だ。 それでわかりました。 あの子はね、実際には猫で、神様に仕えてるんです」 「あの言葉だけで!そこまで?」  「あの子、部屋に入ってきてないのもわかるでしょ?」 「はい......」 「あれはね、弟に仕える者です。いつも俺を守ってくれてるんです」 「弟がさんが、神様?えぇっ!」 「それはまあ、今回の事件とは関係ないんで、置いときましょう。 そもそも俺の事情まで話す時間はありません。 大家さん、きちゃいますよ」 おもわずあたしは、PCのほうの時間で確認した。 「それと、部屋に入ってから『音』について、 なーんも言いませんよね。 『なんか音がしたー』って、あんなにデカい声を上げたのに」 「あ......」 「こういうカラクリじゃないですか? 鍵は閉まっていて、あなたが能力をつかって開けた。 大声を出したのは、鍵が開くときのガチャリと鳴る音を ごまかすためだった。違いますか?  でも残念ながら俺には聞こえましたよ。微かにガチャって......。 と、なると、あなたが誰も介入させず単独で来たのもうなづけます。 最初から自分で開けることができたからです。 それが事実。だから他からの侵入者はいない」 あたしはうつむいた。 うつむいたことが、すべて当たっていた証拠だった。
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