第二部 猫と探偵と高円寺

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「あたしが、通常の人間じゃないのを見抜いたのはお見事です。 ただ、どうしてタヌキだと、そこまでわかったんですか? ポンちゃんって呼ばれてるから?ポンポコリンでタヌキっぽいと?」 「いいえ、名字でわかりました」 「え?」 「タヌキは日本では二種類です。北海道のエゾタヌキ。 それ以外の地域にいるのが、ホンドタヌキ。  本土 ( ほんど ) と聞いて、ピンときました」 「そこ推理じゃなくて詳しすぎ!」 「それは......」 今度は落合さんがうつむいた。 「弟が、神様になる前......人間だったときに、 動物好きだったからです。 ほんとうは獣医になるのが夢でした。 それで俺に話してくれたのを思い出したから......」 「弟、神様が?」 「すみません、話しが反れました。 というかポンさんが、ヒントをくれたようなもんですよ」 「へ?」 「うちの職場は動物園みたいだって言いましたよね。 猪熊でイノシシとクマ、キイロくんが鷺、八木という読みでヤギ。 だけど、本土木実という名前に動物らしさはありませんよ。 ホンドがホンドタヌキだって、言ったも同然です」 それで、溜め息交じりに笑われちゃったのかあっ! 「落合さん、すべて、お話しします。 いえ、もうわかってるんでしょうけど.......。 あたしの口からちゃんと言います。言わせてください。 大家さんが来るまでに手短に話します。 あ、まだまだ人間らしさが微妙なので、ちょっと自信ないですけど」 「だから木鷺坂上で噛んじゃうんですか?」 「まあ、そういうことです」 「かわいいっすね」 「まっ真面目な話しでしゅっ!あっ......」 「真面目に聞きましゅ。どうぞ」 やだもうこの人~っ! 事情ありげに憂いをみせながらキレキレで推理して 余裕でからかうなんて~っ!
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