第二部 猫と探偵と高円寺

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「神様は人の生死の運命に関与してはいけない。妖怪もまた同じく。 これは絶対的なことなんです。でも、あなたは知らなかったというか、 神様がそこまで教える前に投げ出されてしまった。 だから、今回の件で処罰を受けることはないでしょう。 しかし胸にとどめておいてほしい。 優しさだけでは、救えないものもあるのだと......」 あたしはすぐには返事ができなかった。 落合さんが、とても恐かったから。 そして自分のしたことの甘さが......とてもよくわかったから。 「ご、めん、な.......さい.......!」 ここで泣いては更なる甘えだ! あたしは自分にそう言い聞かせて、ただ両手を振り回した。   もちろんそれはただ振ったのではなく、術を解くための文字列を 虚空に描く動作だった。 ボシュッ.......と、音が鳴って、次にゴトンと、ぶつかる音がした。 キイロくんが緑のチェック柄のパジャマ姿で床に転がっていた。 「ポンちゃんは木彫りはないでしょ!」 立ち上がった途端にキイロくんが叫んだ。 落合さんが声を出して笑った。
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