1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、陽輝章真 (ようき しょうま)ですな」
会いに行く人物の下の名前は出さなかったのに、男は言い当てた。
当然ではあるのか?とも思った。
なにしろ村の地主の息子だから村の名前と同じというか、名字から
村の名は付いたのだから。
「彼は立派に成長してくれた、自慢できるような良い子に育った。
そうか、好いた相手に顔を見せぬとはいけないな、仲直りしなさい、
分かり合えぬのは、良きことではないな」
「はい、そうさせていただきます」
昔話に出てくる老人のような妙な言い回しに違和感もあり、俺は早々に
彼から離れようと軽く会釈してからトンネルへと向かった。
すると。
「トンネルの中で話しかけられても、絶対に声を出してはいかんよ」
と、背後から男に言われた。
俺はその言葉に振り返り、トンネルをみて、また男へと振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!