第二部 猫と探偵と高円寺

29/45
前へ
/199ページ
次へ
「あ、そうそう。ポンちゃん、落合さんに会ったよ。 アハールテケで、つい昨日」 「え!ライヴバーで?」 「うん。店の出演者スケジュールを調べて、 僕が行く日に合わせて来てた。 もちろんライヴも観てくれた」 「あらまあ」 「いいよねー、三階に住んでて一階に降りるだけなんてさ。 それはともかく。今日ね、店に来るって、伝言を頼まれた」 「は?ここに?店に?店長に?なに?あたし怒られる?」 「わかんない。店長とポンちゃんに用事があるって。 だからお店が閉まる頃に来るって。 ちゃんと伝えたからね、もし用事がないなら残っててあげてよ。 僕は今夜は本八幡 (もとやわた)のライヴを観に行くから残れないし、 僕に用は無いっぽいし」 「はあ、はい、わかりました。猪熊さんにも伝えときます」 「はい、お願いしまーす」 キイロくんは温かな笑顔で、秋風の冷たい外へと配達に出かけた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加