第二部 猫と探偵と高円寺

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「落合さん、なんの光ですか?」 「超亡霊。悪いタイプじゃないから安心して。 それから、人の目には見えない。 超亡霊捕獲管理機関に、捕らえるよう依頼を受けたんです」 「あれが、超亡霊......」 戸惑ってるうちに英輝さんの出番が始まった。 「ステージ中に捕まえようとはしませんよ」 さすが落合さん、モラルがある。 そこから不思議なことが起きた。 英輝さんが歌っているあいだ、超亡霊の光はステージに飛んだ。 そして英輝さんの歌う感情に合わせるかのように揺らいだ。 激しい曲のときはスピードを上げて。 バラードのときは、ゆっくりと弧を描いた。 あたしたちは戸惑いつつ、なんだか酔いしれつつ、みとれていた。 そしてステージは無事に終えた。 「英輝さんが気に入ったんでしょうか?」 「俺に聞かれても。ともあれこんなケースは聞いたこともないです」
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