1人が本棚に入れています
本棚に追加
ステージが終わり、キイロくんは泣いていた。
彼はステージに感動してよく泣くそうで、今回も常連の客たちは
そっと見守っている。
「キイロくん......」
あたしはかける言葉がみつからなかった。
「大丈夫、ポンちゃん、これは更に惚れた涙だよ。
育児の為にライヴ数を減らすとか、夫として尊敬した!」
「そっか、よかった。よし、おごるから飲みなさい!」
「ありがとう、ポンちゃん」
キイロくん。
君の片思いが無事に消化されて。
新しい恋ができるように願ってるよ。
「もちろんこれからもライヴは観に行く。
やっぱり人間がいいよ。猫じゃダメだ」
「あぁ、ごめんなさい!」
「違うよ、あの体験があったからこそ、そう実感できるんだ」
「そっか、良かった、もっと良いこと起こるといいね」
あたしのやったことは無駄じゃなかった。
そう思えた夜だった。
最初のコメントを投稿しよう!