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「それって、怨霊とかですか?こんな明るい時間に?」
自分の腕時計をみると午後2時を過ぎたところだった。
午前なら信憑性もあったのだが。
「妖怪だよ、村の守り神に仕えているのだ。
しかしタチの悪い妖怪でな、よそ者の命を奪ったりもするのだ」
男が右腕をゆっくりと伸ばしてトンネルを指差した。
「だがな、声さえ出さなければ魂は取られん、安心して通りなされ」
何が安心できるというんだ......。
「あっ、そういえば、あなたは林の中から出てきましたよね?
トンネル以外に道があるということですよね?」
「無理だよ」
「は?」
「初めて陽輝村を訪れる者はな、必ずこのトンネルを通らねばならぬ。
ここ以外からは村へは行けぬのだよ、そうなっておるのだ」
なんてめんどくさいんだ。
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