第二部 七空村

2/50
前へ
/199ページ
次へ
とりあえずと俺たちは同じベンチに座った。 「泣き方が気になったって、どういうことですか?」 まだ鼻をかみながら女性が言ってきた。 「子供を見る目が嬉しそうだった。 うちの家ってね、子供を見る母の眼差しの美しさ......。 それが目に焼き付いてるんですよ。 それと同じなのに、なんで泣いてるのかなあ?って」 女性がペットボトルを持つ手に力をいれた。 「私ね、子供が産めない身体だからって、姑に離婚させられたんです。 長男を、後継ぎを産めない女なんて必要ないって......」 「そういうこだわり、やっぱりまだあるのか」 「まだ?」 「はい、俺は双子の長男だからって、後継ぎにされました」 「受け入れたんですか?」 「いえ、色々あって継ぎませんでした」 「よかった」 「まあ、よくないことばかり起こりましたけどね」 「そうですか......私のように幸せになってほしいです」 「え?」
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加