1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、夕飯の買い物に行かなきゃ。これで失礼します。
それにしてもすごい偶然、会えて良かったです」
王生さんと二人でベンチから立ち上がった。
「俺も、生存確認と、そして立ち直れたこと。
みんな生きてて、ほんとうによかった。
ところで、あなたは?」
「はい?」
「幸せですか?生き延びることができて」
俺は微妙な笑みしか見せられなかった。
「これから、幸せになろうとしています」
「これから?」
「なってみせます」
王生さんが微笑んだ。
「すみせん、ちょっと」
王生さんが自販機までいってペットボトルの水を買って、差し出してきた。
「水を分け与えましょう。これは、あなたへのエールです」
俺は泣きそうになってこらえた。
最初のコメントを投稿しよう!