第二部 七空村

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「兄さん、兄さんはやりたいことはないの? 会社を継ぐって、それだけでいいの?」 藤生にそう聞かれても、俺には具体的には思いつかなかった。 「うーん、探偵?なんだかカッコイイじゃん? 難事件を次々と解決ってさ」 「いいね!兄さんは、僕が見落とすような、 いろんなことにすぐ気づくから、やっぱりそれだよ」 「どのみち無理。獣医より難しそうな気がする。 それに、父さんがやらせてくれないよ」 この家は、元は貧しかったそうだ。   それを自身の力のみで地位も名誉も財力も築き上げた父は すべてを守ろうと闇雲になっていた。
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