第32話 剣を捧げた主人は──

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 なに真顔でいっているのかしら。これだから忠義者は! 「とにかくその案は却下よ」 「しかし」 「昔、『ウィルフリードに死んで欲しくないわ。だから、私たくさんお金を稼いで、強くなってウィルフリードが幸せになるように、ずっと傍で見守っているわ!』と、言ったのだけれど、その約束を破らせる気?」 「──っ、しかし俺は、君に刃を向けて傷つけた。どんな理由があっても許されない」 「それこそ結果的に私のためだったのでしょう。ウィルフリードの案は駄目よ。……アルムガルド、エーレン、ジュノン。アレを何とかする方法を考えるから、少しだけ時間を稼いでもらえる?」  私の言葉に屋上に魔王アルムガルド、死神エーレン、邪神ジュノンの三人が姿を現す。 「なるほど、別世界のアメリア──いや魔神か」 「あそこまで闇堕ちしているとなると、跡形もなく滅ぼすしかないけどぉ」 「でも……それだとこの世界のアメリアも消滅する……か。厄介だ……か、帰りたい」  全員、状況は理解しているっぽい。え、優秀すぎない?  それとも《血の契約》で私からの情報が伝わっているとか? どちらにしても助かるわ。 「今ここで解決方法を見つけ出す。私一人では難しいけれど、私には私の剣と魔王と死神と邪神と、眷族、そして私に忠誠を誓った人外貴族たちがいるのだから、何とかなるはず。みんな、私に力を貸してくださる?」 「大親友の頼みなら是非もない」 「家族なんだからさ。当然だねぇ」 「……また支援者(パトロン)を探すのも……難しそうだし……怖いけれど」 「アメリアの剣と言ってくださるのか、アメリアの剣……と」  それぞれの反応はいつも通りで笑えた。 「女王陛下、我らも及ばずながらご協力させて頂きたく」 「ベルフォート侯爵。ローザとルイスは?」 「危険を察知して真っ先に魔王城に転移させました」 「そう。あとで二人が怒るかもしれないけれど、一緒に怒られてあげるわ」 「なんと……勿体ないお言葉」
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