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第33話 闇堕ちした悪役令嬢の視点
何度足掻いても未来は変わらない。
大切な人たちが傷つき、死んでいく結末は変わらず、そして最後には私も断罪される。
そう世界が設定したのか、何度繰り返しても、何度も違う道を選んでもランベルト様は守れず、ウィルフリードは戦いに巻き込まれて戻らず、エルバート様は大きな怪我を負って王位継承権を放棄した。
何より私が守れなかったせいで、ローザを死なせてルイスは塞ぎ込んでしまった。
どうして、こんなことに?
それなら私ではない誰かに、私と同じくらいみんなを大切にしてくれる誰かが──この悪夢を終わらせてくれないかしら。
そう手を伸ばしたけれど、誰も私を助けてくれなかった。
世界が私を拒絶するのなら、その世界ごと壊してしまえば良い。そうして私の願いを叶えてくれる場所に──また手を伸ばす。
何度でも、何度でも。
私の願いが叶うまで。
『そう。思ったよりも、まともそうな考えでよかったわ』
そう告げたのはアメリアだった。
けれど纏っている雰囲気が違う。
ふと周囲を見渡すと、白銀の水面に佇んでいた。喪服に身を包んだ私と対照的に艶やかな赤いドレスを纏った私がいる。
「貴女は?」
『アメリア・ナイトロードであり、前世は異世界人の記憶を持つ者よ』
彼女は私でありながら隣にウィルフリードを伴っていた。よく見れば主従関係の絆が構築されているのが見える。しかも赤い糸が互いに巻き付いているのなら──。
「ウィルフリード様が生きている……世界線?」
『そうよ。ウィルフリードだけじゃない。ランベルト様も、エルバート様、ルイスは重度のシスコンになったけれど元気だし、ローザも生きて私の近衛騎士になっているわ』
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