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嘘みたいなことをいう。
けれど魂の繋がりが見える今、彼女の言葉は事実だった。
それだけじゃない。魔王アルムガルド、死神エーレン、邪神ジュノン、冥界の死者バルリングまでも身内枠としての繋がりがあった。
「どうして……そんなことを私に?」
『だって私ならこの世界で誰が生きているのか、この世界は悲劇があったかどうか知りたいでしょう? それにアメリアが平行世界の世界を潰しているのは、大切な人が居なくなった世界に復讐するため。まあ、私もアメリアだから、そうするだろうと思ったのよ。大切な人がいない世界なんて滅べば良いってね』
『確かに。アメリアの居ない世界なら俺は自害するかもしれない』
『本当にしそうだけど駄目よ!』
アメリアとウィルフリードの他愛のない会話が奇跡のように思えた。ああ、こんな世界線もあったのね。私とウィルフリードが笑い合って隣に並ぶ未来。
ルイスとローザが生きている──。
そうだ、私はその光景が見たかった。
あったかもしれない未来、それを見られたのなら──。
アメリアに向かって手を伸ばす。彼女は微笑みながら私の手を掴んだ。
ああ、彼女の道のりが伝わってくる。
アメリアの熱意が私の殺意を、怒りを静めて──。
『死ね、悪役令嬢!』
「──っ」
背後からの一撃に気付けず、白銀の剣が私の胸を貫く。
視界に入るその娘は──私を死に追いやった娘。
『あはははは! これで私がヒロインに返り咲くわ!』
『──っ、リリス・ダウエル! ……私の茨を媒体に!?』
「リリスゥ・ダウエルルウウウウウ!」
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