第34話 騎士団長ウィルフリードの視点3

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 ***  意識を取り戻した後は、それはもうてんやわんやだった。  まず真っ先にリリスを取り押さえに掛かり、王侯貴族も捕縛。王城の旗を全て青紫色の炎で燃やし、ナイトロード家の薔薇の紋章の旗が掲げられたことでラディル大国は滅んだ。  すぐさまラディル大国滅亡と、新たなナイトローズ国の建国を各国に知らせるようベルフォート侯爵が率先して動き、同時に国境の警備や出入国の制限も厳しく設けるなど対応は完璧だった。  ベルフォート侯爵は長年ナイトロード家と反目していた貴族だが、それも吸血鬼族が生き残るための処世術だったと知ったのは二年前だ。  まずはアメリアを寝かせる場所を──。  なぜか青い兎はアメリアの傍を離れようとせずについてくる。もしかして使い魔かなにかだろうか。  ……ただの使い魔じゃない感じがするのがアメリアらしい。  さて、王城ならば貴賓室があったはずだ。あそこなら、と思って王城の廊下を歩いていたら魔王と死神に阻まれた。 「天使族が、なぜ余の大親友を抱きかかえている?」 「本当だ。君はアメリアを死に追いやった天使族だろう? しかもリリス側に仕えていたのに、アメリアに触れないで欲しいんだけれどぉ」  魔王アルムガルドと死神エーレンは白黒の対照的な恰好をしながらも、並んで俺の前に立ちはだかった。そう判断するのも無理はない。傍から見れば俺は裏切り者で、アメリアを傷つけた大罪人だ。 「両腕と翼を捻って引きちぎる程度で許してやろう」 「じゃあ僕は両目を抉ってしまおうかな」  凄まじい威圧に負けじと彼らと向き合う。肌はひりつき、凄まじいプレッシャーに膝が震えた。 「俺が許されない行いをしたことは重々承知している。だがアメリアが目覚めるまで彼女の傍を離れないと約束をした。その約束を守った後で良いなら甘んじて罰を受けよう」 「そんなの余の知ったことでは──」 「駄目! ウィルフリードを虐めたら、ねぇさまが泣いてしまう!」 「そーよ! ウィルフリードはおねーさまの婚約者なのだから、虐めたら私が許さないんだから!」 「ローザ、ルイス……!」
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