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「ウィルフリード、あの肩に乗っているのが、エーレンにとっての娘の白兎よ」
「は? いやアレは……ゴーレム」
「ボクは……よく撫でて貰うからペッ──」
「ジュノンとの関係は支援者ですわ!」
いつもの兎の被り物をしながらおずおずととんでもないことを口走っていたので、思わずかぶせて答える。
撫でていたのは兎の姿だった時である!
ウィルフリードは笑顔なのだが、まったく笑っていない。
なぜに? もしかしてウィルフリードも撫でてもらいたい派? いつからそんな趣向が?
「とりあえず、ジュノンは欲しいといっていたピアノは受け取ったの?」
「え!? 新しいピアノがもうあるの?」
「ええ、今回は急ぎだったから《蒼獅子商会》に仲介を頼んだよ。客間に用意させたと思うけれど、アルムガルド」
「ああ、客間3に用意してある」
「!」
ジュノンはパアアと目を輝かせて、部屋を飛び出していった。うんうん、自分から世界を広げていくことは良いことだわ。
「好敵手なのか、やっぱり関係性が今ひとつ掴めない……」
「ウィルフリード、どうかした?」
「……いや、目覚めたばかりなのに無理をさせてすまない。ゆっくり休んでくれ」
ちゅっ、と自然な流れで私の頬にキスを落とす。
ひゃああああああ! なに自然にキスしちゃっているの!?
そ、そういえば元婚約者だった……。ん? 元なら、こんな風に触れたら駄目なんじゃ? でもそれを指摘したらウィルフリードは真面目だから、触れてこなくなるだろうし……。
それはちょっと惜しい。うーん。まあ、その当たりは両親と相談しましょう。
とりあえずギャアギャア騒ぐアルムガルドとエーレンをなんとかするのが先だわ。
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