第11話 魔王と死神とのお茶会

3/4
前へ
/139ページ
次へ
「バルリング様、手紙にも書いたとおり始祖の叡智と記憶はありますが、私はアメリアという元人間です。以後お見知りおきを」 「ナイトロード──じゃない、アメリア。じゃあオレのことはバルって呼んで!」 「バル、それで慌ててきたということは、私の予想通り」 「うん、王様が全然見つからないんだよぉおお! もう冥界は管理できなくてぇえええ! 昔みたいに王様の首根っこを掴んできてほしいんだあああああ」  やっぱり。ゲームシナリオ展開通り、冥府の王クリストフは行方不明のようね。 「バル、いったん落ち着いて、ほらここにあるフライドチキンでも食べて」 「それは余の……」 「ん! 美味しいぃいい!」  ブンブンと尻尾を振るバルリングはキャラ設定通り、フライドチキンに夢中なようだ。実に扱いやすい。  冥王の側近であるバルリングは獣人族で、本来は三頭の獣(冥府の番犬)だ。人型になると、分裂してそれぞれ姿を得る。  そしてバルリングの迷子設定は、冥界から不慣れな地上に出て冥府の王を探していたところにある。  ゲームシナリオでは魔物だと誤解されたまま戦闘だったよね。ほんと不憫。  狼のようなケモ耳が揺れるのを見て、思わず頭を撫でてしまった。するとバルリングは顔を真っ赤にしつつも「もっと撫でて!」と言い出す始末!   なんだか変な性癖を見出してしまった気がする。いや元々犬系だから、ギリギリセーフよ! 「バル。冥王様だけれどお嫁探しの一環で、この世界ではない異世界にいますわ」 「え!?」 「……そこまでして花嫁探しとか、もはや病気だな」 「この世界の女性だけに飽きたらず……。あ、でも異世界で僕の力が軽減してモフモフと触れ合うのなら、気持ちはわからなくはないかなぁ」 「ハッ、異世界の絵の具……」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加