放送室の花子さん

噂話

「なぁ、知っとる？」
何処にでもある普通の高校。
まだ人が少ない朝休みに、友達の紗希(さき)が話しかけてきた。
「んー？知らーん」
「まだなにも言ってへんわ、w w」
「じゃあ何なん？」
そういうと、紗希はもったいぶって少し間を開けてから口を開いた。
「“放送室の花子さん”やで！」
「放送室、？」
トイレでは無いのだろうか、不意にもそう思ってしまった。
「夏休みの8月15日の、、いつも昼の放送が流れる時間___」
「その時間から１分以内に、コンコンコンとノックを3回」
コンコンコン、のあたりからジェスチャーをしながら説明してくる。
「その次に、『花子さん、花子さん。お昼の放送の時間です』って言うねん！」

…とりあえず話はわかった。だけど一つだけ言わせてほしい。

「トイレと放送室一緒にすんなや」
「…え、そこなん？」
キーンコーンカーンコーン
ガラガラッ
「ホームルーム始めんで〜はよ座りや〜」
「やばっ！じゃあまた後で！」
「うぃ〜」
そんな１日の始まりを告げるチャイムのせいで、“放送室の花子さん”の噂話は一旦お預けとなった。